論理学 命題論理学 Logic
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論理学
 このページは私の記憶を助けるために作成されていますが,日本語で書かれているため, 検索を掛けた日本の研究者の目に触れることもあると思います.その際に,誤った記述が あると,日本人の学力低下を助長するコンテンツになってしまうため,皆様のご鞭撻は 常時,承っております.なにとぞご指導下さい.また,リンクも歓迎です.文責 澤 繁実

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数理論理学
命題論理
述語論理(命題論理+∃と∀)
非古典論理
(Non-classical Logic)
直観主義論理(述語論理−排中律)
様相論理(命題論理+存在・必然記号)
ファジィ論理
多値論理
参考文献


定義
 「真」とは,ただの記号.意味はなくて良い.別名 True 又は T
 「偽」とは,真ではないこと.別名 False 又は F
 「命題」(proposition)とは,真か偽のいずれかである主張
 「公理」(axiom)とは,真である決められた命題
 「証明」(proof)とは,真とされる命題に推論規則を有限回適用して,別の真の命題を導くこと
 「定理」(theorem)とは,公理から証明される命題

命題論理学 (Propositional logic)
 「言葉」によって真理に到る方法. 「AはBかCである.」という言葉と,「AはBではない.」という言葉から 「AはCである.」という真実を知ることができるのはなぜかを追求する学問.命題の中に変数を含まない.例えば 「整数x は奇数である。」のような命題は述語論理で扱われる.

Hilbertの命題論理公理系 System of axioms
■1.計算に用いる全記号のカタログ(記号倉)の制定
  記号倉={命題記号,接続記号,区切記号}
  命題記号は命題を代入することのできる記号.例:A,B,C,p,q,r,...
  接続記号は{¬,→,+}
  区切り文字は(左括弧と)右括弧
■2.形成規則の制定
  S1とS2をそれぞれ式(論理式)とする.式とは次のものである.
  命題記号,¬S1,S1+S2,S1→S2,S1・S2
■3.転換規則(推論規則)の制定
  (1) 代入規則:
    命題記号にある式を代入することにより,
    命題記号を含むある式から別の式を作ることが常に許される.
    ただし,代入される命題記号が式中に繰り返し用いられている時は,その全てに同じ式を代入しなくてはならない.
  (2) 分離規則(modus ponens: MP):
    (S1)と(S1→S2)の2つの命題から常に(S2)がいえる.
■4.公理の制定
  (p + p) → p
  p → (p + q)
  (p + q) → (q + p)
  (p → q) → ((r + p) → (r + q))
■5.他の記号を定義
  S1 + S2 を ¬S1 → S2

シェーマによる HPの命題論理公理系 System of axioms
  HPは Hilbert式に形式化された命題計算(Propositional Calculus)
■1.計算に用いる全記号のカタログ(記号倉)の制定
  記号倉={命題記号,接続記号,区切記号}
  命題記号は命題を代入することのできる記号.例:A,B,C,p,q,r,...
  接続記号は{¬,→}
  区切り文字は(左括弧と)右括弧
■2.形成規則の制定
  S1とS2,S3をそれぞれ式(論理式)とし,
  命題記号,¬S1,S1→S2 は式である.
  以上のことから帰納的に式とわかったものだけが式である.
■3.転換規則(推論規則)の制定
  modus ponens: MP:(モーティス・ポーネン)
    (S1)と(S1→S2)の2つの命題から常に(S2)がいえる.
    仮定の記号├をつかって書くと (S1),(S1→S2)├ S2
■4.公理の制定(シェーマによる表記)
  S1 → (S2 → S1)
  (S1 → (S2 → S3)) → ((S1 → S2) → (S1 → S3))
  (¬S1 → ¬S2) → ((¬S1 → S2) → S1)
■5.他の記号を定義
  S1 ・ S2 を ¬(S1 → ¬S2)
  S1 + S2 を ¬S1 → S2
  S1 ⇔ S2 を (S1 → S2) ・ (S2 → S1)
■補足
  命題記号を用いずに式を用いて公理を定義したのがこの HP である.また,A → (B → A)の公理と代入規則をまとめて一般的に 表したのが S1 → (S2 + S1) となり,この表し方をシェーマの表記という.

命題論理公理系 System of axioms のいろいろ
フレーゲによる命題論理公理系 System of axioms 1879
■3.転換規則(推論規則)の制定
  代入法則: , Modus Ponens:(S1),(S1→S2)├ S2
■4.公理の制定
  p → (q → p) , p → (q → r) → ((p → q) → (p → r)) , p → (q → r) → (q → (p → r)) , (p → q) → (¬q → ¬p) , ¬¬p → p , p → ¬¬p

ニコッドによる命題論理公理系 System of axioms 1917
■3.転換規則(推論規則)の制定
  代入法則: , p , p | (q | r) ├ r
■4.公理の制定
  (p | (q | r)) | ((s | (s | s)) | ((t | q) | ((p | t) | (p | t)))
■5.補足
  接続記号 | は 両立しないという意味で, F | F = T, F | T = F, T | F = F, T | T = F,
ラッセルとホワイトヘッドによる命題論理公理系 System of axioms 1925 (プリンキピアマテマティカ)
■3.転換規則(推論規則)の制定
  代入法則: , Modus Ponens:(S1),(S1→S2)├ S2
■4.公理の制定
  p → (p → p) , p → (p + q) , (p + q) → (q + p) , (p → q) → ((r + p) → (r + q)) , p + (q → r) → (q + (p + r))
ヒルベルトとアッカーマンによる命題論理公理系 System of axioms (D. Hilbert and W. Ackermann 1928)
■3.転換規則(推論規則)の制定
  代入法則: , Modus Ponens:(S1),(S1→S2)├ S2
■4.公理の制定
  (p + p) → p , p → (p + q) , (p + q) → (q + p) , (p → q) → ((r + p) → (r + q))

ルカシェヴィッツによる命題論理公理系 System of axioms 1930
■3.転換規則(推論規則)の制定
  代入法則: , Modus Ponens:(S1),(S1→S2)├ S2
■4.公理の制定
  p → (q → p) , (p → (q → r)) → ((p → q) → (p → r)) , (¬p → ¬q) → (q → p)

導かれるとは 導くとは 証明とは
  HP の表現のとある集合を Γ ={S1,...,Sn} とし,A を HPの表現とすると,
 「A が Γ から導かれる」とは,
 Sn = A であり,Γ の各元を Siで表すと,
 (1) Siは HP の公理.
 (2) Siが,有限個の表現 Sj(j < i) から直接導かれる.
 Γ の全ての元に関して (1) か (2) を満たすことをいう. (直接導かれるとは,推論規則を1回だけ適用するということ.)
 この時,Γ の元を「A の証明の仮定(Hypothesis)」と呼び Γ ├ A と書く.(これを「仮定ΓからAは証明可能」と読む.)

演繹定理 (Deduction theorem)
 (Γ,A ├ B) → (Γ├ A → B)
 Γが空集合の時,(A ├ B) → (├ A → B)

恒等式と矛盾
 常にTとなる論理式を恒等式(トートロジー tautology)と呼び,逆に常にFとなる式を矛盾と呼ぶ.  論理式A に含まれる命題変項のそれぞれに TFを与えた時の論理式A の真理値を付値(Valuation)と呼ぶ. 常にTとなる論理式とは,全ての付値がTとなることを言い, 論理式A が n個の命題変項を含む時,論理式A の付値は2n通りある.
公理系が無矛盾である証明

命題論理の完全性定理 (Completeness Theorem)
 ЮA ⇔ ├A
 A が恒真(ЮA:一般的には├の横棒が2本の記号を使うが,このWebサイトではЮの記号を用いる.) と A が HPで証明可能 は同値.
 HPの定理全体とHPのトートロジーの全体は集合として一致する.
 (この式が常に成り立つ公理系は完全であるという.)
 Юの記号と,├の記号は意味が違うので注意しなければならない.├の記号は「前件├後件」と書いて「前件 を仮定すれば後件が導ける(証明可能)」と読み,「├後件」と書いた場合は前件が公理のみで後件を証明できると読む.「Ю後件」 と書いた場合は「人間が後件を真だと信じる」というふうに読め,意味論が含まれている.「人間が真だと信じたことが公理から導けない」 ことがあり,そんな系を「不完全」という.

論理演算子
 NOT ¬(でない),AND ・(かつ),OR +(又は),XOR(exclusive or),IMP → (imply ならば),EQV ⇔ (equivalent)

真理値表(Truth Table)
ABNOT AA AND BA OR BA XOR BA IMP BA EQV B
F
F
T
F
F
F
T
T
F
T
F
T
T
T
F
T
F
F
F
T
T
F
F
T
T
T
T
F
T
T

論理演算優先順位
    ( )
>
NOT
>
AND
>
OR
>
XOR
>
IMP
>
EQV
    ( )
>
¬
>
>
>
XOR
>
>

命題論理変換則(書き換え規則)
 AA (同一律)
 (AB) → (BA) (反射律)
 (AB) ・ (BC) → (AC) (推移律)
 ¬ ¬ A = A (二重否定則 law of double negation)
 AA = A (and のベキ等則)
 A + A = A (or のidempotent law)
 AB = BA (and の交換則)
 A + B = B + A (or のcommutative law)
 (AB) + A = A (吸収則)
 (A + B) ・ A = A (absorptive law)
 (AB) ・ C = A ・ (BC) (and の結合則)
 (A + B) + C = A + (B + C) (or のassociative law)
 A ・ (B + C) = (B + C) ・ A = AB + AC (分配律)
 A + BC = BC + A = (A + B) ・ (A + C) (distributive law)
 A ・ ¬ A = ¬ AA = F (矛盾律 law of contradiction)
 A + ¬ A = ¬ A + A = T (排中律 law of the excluded middle)
 ¬(AB) = ¬ A + ¬ B (ド・モルガン則)
 ¬(A + B) = ¬ A ・ ¬ B (de Morgan's law)
 AB = ¬ B → ¬ A (対偶)
 AB = ¬ A ⇔ ¬ B
 AB = ¬ A + B
 AB = (AB) ・ (BA)
 AB = ¬ A ・ ¬ B + AB
 AT = TA = A
 AF = FA = F
 A + F = F + A = A
 A + T = T + A = T
 FA = T
 TA = A
 AT = T
 AF = ¬ A
 FA = AF = ¬ A
 TA = AT = A
 A XOR B = ¬ AB + A ・ ¬ B
 A XOR B = ¬(AB) AB = ¬(A XOR B)
 AB = ¬ A XOR B = A XOR ¬ B
 A XOR B = B XOR A (XOR の交換則)
 A XOR B XOR C = A XOR (B XOR C) (XOR の結合則)
 A ・ (B XOR C) = AB XOR AC
 A XOR F = F XOR A = A
 A XOR T = T XOR A = ¬ A
 AB = A XOR ¬ B = ¬ A XOR B
 A XOR B = A ⇔ ¬ B = ¬ AB
 ¬(AB) = A XOR B
 ¬(A XOR B) = AB
 A XOR A = F
 (= は同値の意味だが,可読性を高めるためにこのように表記. = の論理演算優先順位は ⇔ よりも後とする.)


主加法標準形(principal disjunctive canonical form)
 論理変数 + ... + 論理変数 の形で命題を表す.

公理系が無矛盾である証明
 公理 p → (p + q) (p + q) ⇔ (¬p → q)より代入規則を用いると
  p → (¬p → q)  が導かれる.
 「ここで,ある式 S とそれに矛盾する ¬Sとがともに公理から導かれる」と仮定する.
  p → (¬p → q) の p に S を代入規則により代入すると,
 S と S → (¬S → q) より,(¬S → q)が導かれ,(分離規則:MP)
 ¬S と ¬S → q より,q が導かれる.(分離規則:MP)
 q に任意の式を代入することによって,「いかなる式も公理から導かれうる」ことが証明された.
 すなわち,「もし,計算が無矛盾でなければ,あらゆる式が定理である.」
  従って,形式規則に従って作られた式のうち,公理から導けない式が少なくとも
 一つ存在することを示せばよい.
  (p + q) が公理から導けないことを示す.
  公理は全て恒真式(トートロジー)である.恒真式であるという性質は
 推論規則(代入規則・分離規則)による変換後も必ず成り立つ.
 よって,トートロジーでない式は,公理から導かれ得ないということが言える.
  (p + q) は明らかにトートロジーではない.
 よって,公理から導けない式を1つ発見したので,公理系は無矛盾である.

公理系が完全である証明
 Sが Hpで証明可能 ならば S は Hpで恒真 (├A ならば ЮA ) ・・・(a)
をまず証明する.
 Hpの公理 A1.〜A4.が恒真式であることは真理値表により明らかである.・・・(b)
 ここで推論規則について考える.
 代入規則は命題記号に任意の式 T を代入出来るというものである. 式 T の真偽値は T に含まれる命題変数の全ての付値について同じである.これより,
 任意の式を代入される前と後で代入された式の真偽値に変化が生じることはない.・・・(c)
 分離規則(MP) は2つの恒真式から恒真式を導くというものである.・・・(d)
 記号変換則 S1 + S2 と ¬S1 → S2 について考えた時,2つの式は S1 と S2がどんな組み合わせでも全く同じ真理値表となる.よって,
 記号変換則によって式を書き換えても元の式の真偽値は変化しない. ・・・(e)
 (c),(d),(e)より,全ての推論規則について,恒真式に推論規則を適用しても,適用後の式も恒真式である.・・・(f)
 証明の定義より,証明可能な全ての式は公理に推論規則を有限回適用したものである.これと(b),(f)より,(a)は正しい.

 次に Sが Hpで恒真 ならば S は Hpで証明可能 (ЮA ならば ├A ) ・・・(g)
を証明する.
 S を Hp の恒真式だと仮定する.S に使用されている命題変項を A1,..., Akとする. S の任意の付値に対して,定理 A1',..., Ak' ├ S' (証明及び 'の意味) から,S は恒真式なので S' = S より,
 A1',..., Ak' ├ S ・・・(h)
 A1',..., Ak-1' が任意の値を取る時,
 AkTであれば A1',..., Ak-1', Ak ├ S
 AkFであれば A1',..., Ak-1', ¬Ak ├ S
 となる.よって,
 A1',..., Ak-1' ├ Ak ⊃ S
 A1',..., Ak-1' ├ ¬Ak ⊃ S
 定理 (p ⊃ q) ⊃ ((¬p ⊃ q) ⊃ q) (証明)より
 A1',..., Ak-1' ├ S
 この操作を k 回繰り返すことにより,├ S を得る.よって,(g)は正しい.
 (a)と(g)より,
 Sが Hpで証明可能 と S が Hpで恒真 は同値 (├A ⇔ ЮA )
証明終わり

公理系の完全性の定義
 1.公理系からありとあらゆる全ての恒真命題が得られる.
 2.公理系から導かれない一つの論理式を公理として新たに付け加えれば常に矛盾が生じる.
 1よりも2の意味の方が強い完全性である.

論理学の歴史
1889ペアノ自然数論の公理系
1897カントール「超限集合論の基礎付への寄与」
1897ブラリーフォルテティ「超限数についての疑問」でパラドックスを示す。
1899ヒルベルト「幾何学基礎論」
1899カントールカントールのパラドックス
1902ラッセルラッセルのパラドックス
1908ラッセル「型の理論に基づいた数理論理学」還元公理の導入
1913ラッセル
ホワイトヘッド
「プリンキピア・マテマティカ」
1912ブラウアー直観主義を主張
1922スコーレム集合論の基礎付に関する若干の考察
1930ゲーデル論理学における述語計算の公理の完全性
1930ゲーデル不完全性定理
1935ゲーデル公理的集合論における選択公理の無矛盾性を証明
1935ゲーデル一般連続体仮説の無矛盾性を証明
1943ゲーデル型の理論の枠内での選択公理の独立性を証明


述語論理学(Predicate Logic)
定義 Definition
∀は全称(ぜんしょう)記号(universal symbol)∀x の x を全称作用素(universal quantifier)
∃は存在記号(existential symbol)∃x の x を存在作用素(existential quantifier)
f(x) を命題関数(propositional function)f(x) の x を自由変数(free variable)
(∀x) や (∃x) を限定詞(quantifier)(∀x)f(x) のように限定詞をつけたときの x を束縛変数(bound variable)と呼ぶ.

述語論理学(Predicate Logic)変換則(書き換え規則)
 a は任意の自由変数. 記号の意味は命題論理を参照.
 (∀x)(f(x)) → f(a) = T
 ¬ (∀x)(f(x)) + f(a) = T
 (∀x)(f(x)) ・ f(a) = (∀x)(f(x))
 f(a) → (∃x)(f(x)) = T
 ¬ f(a) + (∃x)(f(x)) = T
 f(a) ・ (∃x)(f(x)) = f(a)
 (∀x)(f(x))→(∃x)(f(x))=T
 ¬(∀x)(f(x)) + (∃x)(f(x)) = T
 (∀x)(f(x)) ・ (∃x)(f(x)) = (∀x)(f(x))
 (∀x)(f(x) ・ g(x)) = (∀x)(f(x)) ・ (∀x)(g(x)) = (∀x)(f(x)) ・ (∀y)(g(y))
 (∃x)(f(x) + g(x)) = (∃x)(f(x)) + (∃x)(g(x)) = (∃x)(f(x)) + (∃y)(g(y))
 (∀x)(f(x) + G) = (∀x)(f(x)) + G
 (∃x)(f(x) ・ G) = (∃x)(f(x)) ・ G
 (∀x)(G) = G
 (∀x)(f(y)) = f(y)
 (∃x)(G) = G
 (∃x)(f(y)) = f(y)
 (∀x)(T) = T
 (∀x)(F) = F
 (∃x)(T) = T
 (∃x)(F) = F
 (∀x)(f(x)) = (∀y)(f(y))
 (∃x)(f(x)) = (∃y)(f(y))
 ¬ (∀x)(f(x)) = (∃x)(¬ f(x))
 (∀x)(¬ f(x)) = ¬ (∃x)(f(x))
 ¬ (∃x)(f(x)) = (∀x)(¬ f(x))
 (∃x)(¬ f(x)) = ¬ (∀x)(f(x))
 (∀x)((∀y)(f(x,y))) = (∀x)(∀y)(f(x,y))
 (∀x)((∃y)(f(x,y))) = (∀x)(∃y)(f(x,y))
 (∃x)((∃y)(f(x,y))) = (∃x)(∃y)(f(x,y))
 (∃x)((∀y)(f(x,y))) = (∃x)(∀y)(f(x,y))
 (∀x)(∀y)(f(x,y)) = (∀y)(∀x)(f(x,y))
 (∃x)(∃y)(f(x,y)) = (∃y)(∃x)(f(x,y))
 (∃x)(∀y)(f(x,y)) → (∀y)(∃x)(f(x,y)) = T
 (∀x)(f(x)+ f(a)) = f(a)
 f(a) + (∃x)(f(x)) = (∃x)(f(x))
 (∃x)(f(x)) + (∀x)(f(x)) = (∃x)(f(x))



直観主義論理学 (Intuitionistic Logic)
概要(直観主義論理学とは)
 初めて数理論理学として扱ったのは Brouwer(1881-1966) である.Brouwerの主張は 「無限の対象に対して,具体的に表現することができる手段がある場合のみ,研究の対象とすべきである.」と言うことだ. 「無限個の対象を具体化して実感し,見通す能力」を直感と呼びこの直感こそが無限個の対象の存在の根拠となると考える. こう考える背景には
ラッセルのパラドクス(Russell Paradox)など具体的に無限を表現する手段を準備せず, 安易に無限を考えた結果に起こると考えられる矛盾の存在がある.
 古典論理(命題論理と述語論理)は「真」と「偽」の2値を扱い,命題は真か偽のどちらかであるという主張により なされる論理体系である.また,通常の数学で用いる論理でもある.しかし,「真でないものは偽である」という この主張を認めない論理体系,すなわち,排中律を否定した論理体系が直観主義論理学(Intuitionistic Logic)である.
 A + ¬ A = ¬ A + A = T (排中律 law of the excluded middle) を成り立たないとする論理学.

ラッセルのパラドクス(Russell Paradox)とは
全ての集合を集めてきてそれをAと呼ぶ.するとAも集合である.よってA∋Aとなる.Aのように自分自身を元とする集合を第1種の集合と呼ぶ. 自然数の集合を考えると,それは自分自身を元として含まない.この種の集合を第2種の集合と呼ぶ.ここで第2種の集合全てを集めた集合Cを考える.


様相論理学 (Modal Logic)
概要(様相論理学とは)
 初めて数理論理学として扱ったのは C. I. Lewis と C. H. Langford である.(C. I. Lewis, C. H. Langford : Symbolic logic, New York, 1958)  「必然性」と「可能性」という概念を導入した論理.


ファジィ論理学 ファジー論理学 (Fuzzy Logic)
概要(ファジー論理学とは)
ファジー集合とファジー論理は以下を参照されたし. 廣田 薫 編著,"知能工学シリーズ1 知能工学概論",昭晃堂(株),1996



多値論理学 (Multiple-valued Logic)
概要(多値論理学とは)
 古典論理(命題論理と述語論理)は「真」と「偽」の2値を扱う論理のため,2値論理と呼ばれるが, これを拡張し,3値以上の離散値で論理体系を考えたのが多値論理学である.

R=3の Max演算・Min演算
Max演算
x\y012
0012
1112
2222
Min演算
x\y012
0000
1011
2012
リテラル演算
xx00x01x02x11x12x22
0222000
1022220
2002022
反転
x¬x
02
11
20
Cycling
xx'
01
12
20




ユークリット幾何学 (Euclid Geometry)
概要(ユークリット幾何学とは)
 E2,E3,Enをそれぞれ平面幾何学(Plane geometry),空間幾何学(Space geometry), n次元Euclid幾何学(n-dimensional...)という.ユークリットは「幾何学原本」を残し,長く完全なものとして扱われてきたが 19世紀後半に深く検討され,「原本」の公理は不完全とされた.

Hilbertの公理系 System of axioms
 点,直線,平面とそれぞれの関係は未定義語とし,公理により意味を与えられる.
■1.用いる記号のカタログ(記号倉)の制定
 点(point)を次のように表記. A,B,C,...
 直線(straight line)を次のように表記. a,b,c,...
 平面(plane)を次のように表記. α,β,γ,...

■2.関係の制定
 4つの関係.「○の上にある.」「○と○の間にある.」「合同」「平行」 (○には点,直線,平面が代入される.)

■3.公理の制定
結合公理(incidence axioms)
順序公理(axioms of order)
合同公理(axioms congruence)
平行線公理(axiom of parallels)
連続性公理(axioms of continuity)
(1) 拡張予定..
 参考:日本数学会, "岩波 数学事典 第3版", Chap. 68, 岩波書店, 1985

計算論
決定問題とは(Dicision Problem)
1.任意の系Sにおいて、Sの命題が証明可能かどうか(定理であるか)を決定するアルゴリズムが存在するかを 考える問題. 有限回の手続きで決定できる時, 問題は決定可能(Decidable)と言う.決定可能であるかどうかを求める問題,または決定可能な時にその決定手続き(アルゴリズム)を求める問題.
2.入力に対してYesまたはNoで出力する形式の問題のこと.


アルゴリズムとは(Algorithm)
 決定手続き(Decision Procedure)のことをアルゴリズムと呼び,ある問題を有限の時間で解決する手順のことである。

形式的体系とは(Formal System)
 形式化とは系(System)を全く意味のない(人間が持っている意味とは無縁の)単なる記号の集まり, 記号の変換としてとらえること.
 命題論理,述語論理,自然数論,群論,実数論などの数学理論を形式化した体系を一般に形式的体系(Formal System)と呼ぶ.
 論理式の内容に立ち入って真偽などを考える立場をセマンティクス(意味論・記号論的 Semantics)と呼び,形式的な構造だけについて考える立場をシンタックス(統語論・構文的 Syntax)と呼ぶ.

非決定性定理とは
 チャーチ(1937)が「特定の命題をSが導かれるか否かを,自前に知ることができない.」ということを証明した.  チャーチの非決定性定理とも呼ばれており,「任意のチューリングマシンが何を導くかを自前に決定するアルゴリズムは存在しない.」  というものである.

チューリングマシンの停止問題とは
 『任意のアルゴリズムが有限回のステップで停止するか否か』を,決定するアルゴリズムの存在するか?」を問うのが停止問題.  チューリングマシンにおいて有限の時間内に必ず停止するよう最終状態 F を定義する.  チューリングもチャーチと同じく1937年に,これが不可能ということを証明した.  チューリングの停止定理:「任意のアルゴリズムがいつ停止するかを自前に決定するアルゴリズムは存在しない.」


フラクタル(Fractal)
Koch Curve コッホ曲線
Koch Curve コッホ曲線
 直線を三等分し,中の直線を消して,消した線分と同じ長さの線分2本をつなげる.この操作を無限回行う.

概要(フラクタルとは)
 フラクタルとは,マンデルブロ(Mandelbrot)が1975に作った言葉であり,フラクタルの定義は専門家の間でも厳密には確立していない.  フラクタルは「自己相似性」「微分不可能」をキーワードとした「特徴的な長さを持たない図形や構造,現象などの総称」のことである.

自己相似性とは(autocorrelation)
 どんなスケールで見ても同じ構造や性質などが見られるということ.コンピュータープログラムにおける再起関数を無限回繰り返すことに対応している.

微分不可能(undifferentiable)
 「曲線は,無限に細かい領域で見れば直線に近似することができる」という考えから,ある点における 接線を考えることができるが,フラクタルの場合は,無限に拡大しても,基と同じ構造があるため, 直線に近似することができずに,微分という考え方を根本から否定している.
 微分の定義【f'(x) = limΔx → 0 (f(x + Δx) - f(x)) / Δx】


次元とは(dimension)
 点は 0次元空間,直線は 1次元空間,平面は 2次元空間,この世は 3次元空間(時間を加味し 4次元という場合もある.)と言われている.  それぞれの空間における任意の点を表すのに必要な実数の数がこの次元である.直線内では1つの実数を用い,平面内では 2つの実数を用いて任意の点を表現できる.空間内の1点を表すのに必要な自由度(パラメーター)の数を次元といい,n自由度の場合を n次元空間と呼ぶ. それぞれのパラメーターは独立(直交している)であるべきだが,独立でない場合も n次元と呼んでいる場合がある.
 しかし,この次元の定義だと困ることが起きた.1890年に2次元であるはずの正方形内の任意の1点を 1つの実数で表現することができることが 見いだされた.(例:ペアノ曲線:自己相似性,いたるところで微分不可能,正方形内を直線のみで埋め尽くすことが可能)

相似性次元とは
 ある図形Aの全体を1/αに縮小した相似図形をaとし,aのβ = αD個によって A を構成することのできる時, D を相似性次元という.ちなみに,正方形は全体を 1/2倍にした正方形22個によって構成でき,全体を 1/3倍にした正方形 32個によって構成できるため,2次元. 立方体は全体を 1/2倍にした立方体 23個によって構成でき,全体を 1/3倍にした正方形 33個によって構成できるため,3次元ということになる.

フラクタル次元とは(Fractal dimension)
 長さをL,面積をS,体積をVとした時に,D次元測度を持つ量を X とすると,【 L ∝ S1/2 ∝ V1/3 ∝ X1/D 】となる.  【 L ∝ X1/D 】となるような L と X について D をフラクタル次元という. (∝ は比例するの意味)

ハウスドルフ次元とは(Hausdorff dimension)
 ある線(例えばコッホ曲線)を構成する全ての点を元とする集合S を考え,その点を全て覆うような直径 ε以下の円を k 個考える. それぞれの円の直径を dk とすると,D次元ハウスドルフ測度は,
【 MD(S) ≡ limε → 0{ infdk < ε { Σk (dkD) } }】
となる.(D > 0, ε > 0) (意味:ε以下の直径を持つ k 個の円をもって ある線(例えばコッホ曲線)を隙間無く覆い隠す組み合わせのうち,全ての円の直径の合計が最小となるものについて εを0に限りなく近づける.その時の各円の直径 dk に D乗しておく.) この D次元ハウスドルフ測度は D の取り方によって 0 から 無限大となるが,ある D の値の時のみ, ハウスドルフ測度は 0 でも 無限大でもない値を取る.その時の D をハウスドルフ次元と呼ぶ.

 参考:高安 秀樹, "フラクタル", 朝倉書店, 1986

参考文献 (Reference)
  1. 栗原 俊彦 and 中村 昭,"情報科学講座 A・2・1 論理数学 I -数理論理学-",共立出版(株),1975
  2. 樋口 龍雄 and 亀山 充隆,"多値情報処理 -ポストバイナリエレクトロニクス- Multiple-Valued Digital Processing System",昭晃堂(株),1989
  3. 林 晋,"コンピューター数学シリーズ3 数値論理学 Mathematical Logic",コロナ社(株),1989
  4. James Trefil著 家 泰弘訳,"人間がサルやコンピューターと違うホントの理由 -脳・意識・知能の正体に科学が迫る-",日本経済新聞社,1999
  5. Ernest Nagel and James R. Newman著 はやし はじめ訳,"数学から超数学へ -ゲーデルの証明-",白揚社(株),1958
  6. 廣田 薫 編著,"知能工学シリーズ1 知能工学概論",昭晃堂(株),1996
  7. D. Hilbert and W. Ackermann著 伊藤 誠 訳,"記号論理学の基礎",大阪教育図書(株),1949
  8. 日本数学会, "岩波 数学事典 第3版", Chap. 68, 岩波書店, 1985
  9. 高安 秀樹, "フラクタル", 朝倉書店, 1986



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